PROJECT STORY 01
プロジェクト

知恵を結んで、もっと先まで。

クライアントから依頼されたのは、「全国展開の施設サービス事業における離職率の解消」。鍵となるのは人事視点だけでなく経営まで視野に入れた解決方法だった。部署の垣根を跳び越え、大きな課題のために集まった4人の社員から、課題の原因を追及していくまでの流れと、プロジェクトから得た大きな価値について聞いた。

Member

T. F
2019年度 中途入社

取締役 マネジメント&
マーケティング研究事業本部
本部長

JMARへは1990年度に入社。その後、2009年に研修講師・コンサルタントとして独立する。そして、JMARの母体であるJMA(日本能率協会)にて勤務した後、2019年にJMARに再び就職した。

A. S
2022年度 中途入社

マネジメント&
マーケティング研究事業本部
組織・人材戦略研究部 研究員

前職では石油商品の商社に事務員として勤務していた。新しいキャリアに挑戦するためにJMARに転職。面接の際に言われた、「経験したところにはいつでも戻れるからこそ、新しいことに挑戦するのはすごくいい」という言葉が決め手になったという。

K. N
2018年度 中途入社

マネジメント&
マーケティング研究事業本部
組織・人材戦略研究部 研究員

以前はメーカーの工場で人事を担当。「自社だけでなく広く世の中を見てみたい」という想いでJMARに転職した。人の心理調査・分析ができること、そしてJMARの自由な社風に魅力を感じて志望した。

T. S
1996年度 中途入社

マネジメント&
マーケティング研究事業本部
経営ソリューション研究部 部長

JMARの医療福祉分野の政策提案・調査研究部門へ中途で入社した。官公庁の政策だけでなく、個別の病院や施設のコンサルタントも担当。現在は、医療福祉からその他の領域にもコンサルティングサービスを拡大している。

Story01
垣根を越えて、手を上げた二人
T.F
当時、組織・人材戦略研究部の部長だった私のもとに、一本の電話が入りました。連絡をくれたのは、以前から付き合いのある企業様で、「離職率が高くて困っています。従業員のエンゲージメントを改善し、離職率低下をはかるためのコンサルティングをお願いしたいのですが…」という依頼でした。詳しく話を聞いてみると、クライアント様はIPO(新規株式公開)を目指していて、離職率の高さが大きな経営課題になっているということでした。
T.S
クライアントからの依頼を受けて、T.Fさんは、部署の垣根を越えて、プロジェクトの参加者の募集をかけました。「組織・人材戦略研究部」は、主には組織課題の解決のために調査を行う部署で、「経営ソリューション研究部」は、調査結果をもとにした企業支援を行っています。
T.F
そうでしたね。もし、二つの部署がうまく合わされば、組織や人材に関する細かなデータを分析しながら、トータルなコンサルティングが可能になるかもしれないと考えたんです。
A.S
T.Fさんの募集を受けて、私とK.Nさんが手を上げました。私は入社1年目で、なんでもやってみたいという想いがありました。やる気を買ってくれたと思っています。
K.N
私は、5年ほどの経験があったとはいえ、こういったプロジェクトの経験はほとんどありませんでした。不安もありましたが、ワクワク感が大きかったですね
T.S
そこに私も加わって、プロジェクトを進めていくメンバーが揃いました。
Story02
ひたすら、仮説を追求していく
A.S
最初にやるべきことは、クライアントが抱える課題に対して、仮説を立てることでした。そのために、事業を行っている施設ごとのデータを収集し、様々な手法でデータの分析を行いました。すべての施設の社員とパート職員の離職率を計測したところ、「社員は半年で80%、パート職員は3ヵ月で100%離職する」ということが明らかになりました。
T.S
ここで導かれた「短期での離職者が多い」という仮説が、今回のプロジェクトの土台となり、さらにデータを精査してみると、短期間での離職率が高い一方で、長期間にわたって働き続けている職員もいることがわかりました。だとすれば、短期離職の多さには、単に職場環境に原因があるのではない、と私たちは考えました。
K.N
そうして今度は、短期離職の原因を探るステップが始まりましたね。「どこに従業員の不満の種が潜んでいるのか?」「そのために最適な対策は?」私たちは、クライアント企業にあらゆるデータの提供を依頼し、有給の消化率、残業時間など、あらゆる施設のデータを収集しました。
Story03
仕事の旅のどこに、
不満の種が眠っている?
A.S
仮説をブラッシュアップしていく過程で、大きな役割を果たしたのが「従業員ジャーニーマップ」という手法でした。これは、入社してから辞めていくまでの流れを旅に置き換え、旅のどの段階を改善すべきかを明らかにする手法です。この手法によって、「試用期間」「着任」「上司との関係構築」といったフェーズごとに、どのような退職理由が発生しているのかを調べることが可能になります。ジャーニーマップの作成にあたり、実際に会社で働く従業員を集めて、私とK.Nさんがヒアリングを行いました。
K.N
そうでしたね。その結果見えてきたのは、「応募者が、採用時に現場を理解できていない」という課題でした。現場の状況を理解していないまま採用されて、実際に入ってみると思っていた仕事と違っている。そういった想像と現実のギャップが、人間関係の悪化や早期の退職につながっているのではないか。だとすれば、離職率を下げるために「とにかく採用する」という採用方針を止めて、充分にコミュニケーションを取ってから内定を出さなければなりません。
T.S
こうしてヒアリングをすべて終え、仮説のブラッシュアップが完了しました。ここからようやくコンサルティングの領域に入っていきます。採用段階の不一致という課題であれば、対処法は比較的すぐに見つかります。一方で、企業のIPOという目的を視野に入れると、経営方針というレベルまで考え方のフレームワークを広げなければなりません。すると、個別の施設の改善を超えて、事業としてこのままのやり方でよいのか、というビジネスモデルにもつながる話になっていきます。
Story04
垣根を越えて、手を組んだ4人
T.S
今回のプロジェクトは、クライアントの人事担当者と共にプロジェクトを進めたことで、JMARの人事調査方法を知ってもらうことができ、それらを他部門へ転用することも検討してくれています。
K.N
クライアントだけでなく、JMARのマネジメント&マーケティング研究事業本部でも、これまで接点のなかった社員との共同作業により、多くの学びが生まれました。こういった機会に異なる専門の方と手を組み、今までとは違う発想を要求されたことは、大きな刺激になりました。さらに、社内での関係性強化につながり、お客様に提供するサービスの価値向上にもつながったと思います。
A.S
私にとって今回のプロジェクトは、何もかもが成長の瞬間でした。色々なことに、体当たりで挑戦させてもらいました。先輩方が根気強く付き合ってくださったので、本当に貴重な経験になったと思います。
T.F
それはよかったです。離職率という人事的な切り口ではありましたが、それは経営課題にもつながっていくものだと思います。私たち能率協会は、もとはそういった経営課題に寄与するサービスを提供することを存在意義としています。今回は、JMARの2つの部署が横断的に機能することで、その本来の目的に近づいているのではないでしょうか。これからも、垣根を越えたJMARの仕事で、企業の課題を解決していきましょう。